大きな荷物をその場で下ろしたカカシが、すたすたと寝室へ向かった。 歩きながら服を脱ぎ、ベッドの手前で下着姿になると、慣れた手付きで掛け布団をめくった。 そこへカカシがうつ伏せで横になる。 ベッドの半分は、きっちりと空いていた。 イルカが来るのを待ち構えているのだ。 その一連の流れをぼうっと眺めていたイルカは、やはりぼうっとしたままベッドへと近付いた。 ベッドの脇で足を止め、全裸に近い状態のカカシを見下ろす。 そうすると、カカシのやる気が否が応にも伝わってきた。 「焦らさないで」 触れたらやけどしそうな声だった。 普段のカカシの声とは違いすぎていて、初めてでもないのに服を脱ぐのを躊躇ってしまう。 こんな段階で固まっているイルカに、カカシが熱っぽい目をして手を伸ばしてきた。 着衣のままでいいから早く来て。 カカシの手が、そう言っているように感じた。 意を決してベッドに片膝をつき、一歩を踏み出してカカシの手を取った。 すると、ぐっと引っ張られてカカシの上に倒れ込んだ。 重たいだろうと思って慌てて体を起こしかけたら、その勢いで簡単に体を反転させられた。 馬乗りになったカカシと、ばっちりと目が合う。 その野生的な視線に、体の内側から発熱していくのがわかった。 目を逸らす事もできず、体温だけが上昇していく。 それに堪え切れずに、つい浅はかな事を口走ってしまった。 「はや、く…」 まだキスしかしていないのに、体がどうにかなってしまいそうだった。 カカシの唇が、いやらしい形の孤を描く。 「では」 妙な前置きをしたカカシが、いきなり股間に顔をうずめてきた。 そこにぐりぐりと顔を押し付けてくる。 「っ…くっ、んっ!」 我慢しても、咽喉の奥から喘ぎが漏れてしまう。 胸の前で両手を握り締め、体を波打たせながら、ひたすらカカシの痴戯に堪える。 びくり、と一際大きく腰が浮いた時に器用にズボンを下ろされ、さっと抜き取られた。 今度は下着越しに顔をくっ付けてきて、陰茎と陰嚢を甘噛みされる。 イルカの意思に反して、びくびくと奔放に腰が揺れた。 先走りと唾液でしっとりと濡れてきた頃に、ようやく下着を脱がされた。 しかし、上半身だけ服を着て下半身は丸裸、という恥ずかしい格好に仕立てられていた事に気付き、激しい羞恥に襲われた。 せめて局部だけは隠そうと、裾を掴んで上着の布をぴんと張る。 少し丈が足りなくて、あまり意味がなかった。 でも、やめられない。 そうやって自身の手元や股間に気を取られていたから、足元への注意を怠ってしまった。 がばっと大きく開脚させられて、腰の下に枕を入れられた。 隠したい場所を、カカシに向かって全開で晒している体勢に気が遠くなる。 「…早く入れたい」 その上そんな事まで言われて、本格的に理性の箍が外れそうになった。 「あ、ヒクヒクしてる。…中も、すごく熱い」 「んっ!」 カカシの指が一本、狭い入口から中へ侵入してきた。 ゆっくりと内壁をなぞるように指が動く。 そのうちに、入口の襞に生温かいものが這ってきた。 べろりと広範囲を舐められたり、尖らせて部分的にほじられたりと、自在に姿を変える。 時折、入口に柔らかい唇を当てがわれ、何かを吸っているような音がした。 それが自身の先端から垂れてきた先走りだとわかり、なんでわざわざそんな所で吸い上げるのかと思いながらも、体は正直に震えた。 不意に、指が抜けそうな位置まで引かれ、一本増えて戻って来た。 どうやら両手の人差し指を一本ずつ挿入しているようで、それぞれの指が自由に動き回る。 それが浅い場所で停止し、今度は入口を左右に広げようとしてきた。 僅かにできた二本の指の隙間から、舌を入れて唾液を送り込んでくる。 カカシはそれを、飽きもせずに時間を掛けて何度も繰り返した。 そして結局は、右手三本、左手二本の合計五本の指がイルカの後口を出入りするようになった。 こういう時にカカシが発揮する集中力は驚異的だ。 「イルカ先生のココ、すごく柔軟だから、ついやり過ぎちゃった。もう限界」 「はぁんっ!」 カカシの剛直が一気に奥まで突き刺さり、その反動で何の予兆もなくイルカの前が弾けた。 「入れた、だけで、イっちゃった、の?…ホントに、やらしいん、だから」 達したばかりのイルカに構わず、カカシが一定の律動で腰を打ち込んでくる。 「あ、あ、やっ、まっ…!あっん、やぁあ…ふぅんっ!…あっ、あっ」 絶頂から続く快感は苦痛に近いはずなのに、いつの間にか快感しか感じなくなっていた。 カカシの腰の動きが段々と早く、荒々しくなっていく。 奥を突かれるたびに。 抜けそうなほど引き下がられるたびに。 イルカの後口がカカシを締め付けて快感を増幅させる。 自分の体なのに、もう自分では全く制御が利かなくなっていた。 カカシに腰を掴まれて、更に高く持ち上げられる。 今までよりも動きやすくなったのか、一段とカカシの勢いが強まった。 それに堪えられなくなって、ぎゅうっと肛道が閉じていく。 「んんっ!…んぁ、あっ、あっ!はああっ!」 びくびくと体が震え、カカシの腹に白濁を撒き散らす。 「はっ…」 カカシが息継ぎと同時にイルカの腰を抱き寄せ、数度の摩擦の後に最奥で熱い飛沫を放った。 イルカの中に全てを出し尽くそうとしているのか、腰を前後させながら断続的に内壁に精液を浴びせられる。 ぐったりしているイルカの上に、カカシが覆い被さってきた。 そうするともう、二人の境界が曖昧になる。 もっと密着したくて、もっと繋がりたくて、だるい足と腕を動かしてカカシの体に絡めた。 これだけじゃ足りない。 もっとカカシが欲しい。 イルカがそう思っていると、カカシが甘えるように頬を摺り寄せてきた。 だからてっきり、イルカの意を汲んでくれたのかと思った。 それなのに。 カカシが体を起こし、ずるずると楔を引き抜いてしまった。 「あ、あ」 反射的に漏れた声にはみだりがましさが滲んでいた。 カカシの出したものが後口から溢れ出る感覚に、ぞくぞくと体が震える。 今日はこれで終わりなのだろうか。 カカシはまだ一回しか出していないのに。 2ヶ月分なのに。 再び覆い被さってきたカカシに、続きを要求する意味でもじもじと腰を擦り付けた。 「ごめんなさい。今日はもうダメみたい。任地を発つ前に何回かヌイてきたのが効いてるんだと思う」 カカシの台詞に、今まですっかり失念していたあの事を思い出した。 |