「…」

イルカが風呂から上がると、笑顔のカカシが人差し指で手招きをした。

畳の上であぐらをかいて、ひたすら笑顔を向けてくる。

「何ですか?」

カカシの正面で膝を折り、正座した。

正座するのはイルカが畳に座るときの習慣。

「???」

カカシの手が延びて肩に触れた。

カカシの顔が接近する。

「…イルカ先生、明日は受付だけですか?授業はあるの?」

カカシが囁き、イルカの耳に熱い吐息がかかる。

「あ、えっ、あ、明日は…、明日は午前が受付で、午後から教養の授業が入っています」

「野外演習はないんですね」

「はい」

「じゃぁ…」

カカシの唇が自分のにゆっくり重なった。

ついばみ、何度もくっついたり離れたりする。

イヤらしい濡れた音が聞こえた。

「…いいですか?」

まばたきの風を感じるほど近くにカカシの顔。

目を逸らすことも出来ない距離。

見つめ合うしか出来なくて、頬に熱が集まってくる。

「…はい…」

恥ずかしくて、ぎゅっと目を閉じた。

髪、瞼、頬、唇、顎、喉、と順に口付けられる。

喉に口付けられると、首が仰け反った。

晒したうなじをカカシの舌がなぞっていく。

「…っく」

背筋に微電流が流れ、全身が痺れ出す。

カカシに背中を支えられ、畳に横たえられた。

そのカカシの手の感触にすら体がびくつく。

「…カ、カカシ先生…せめて、ベットで…」

初めてというわけでもないのに情けないが、居間で行為に及ぶのは止めてほしかった。

ここでは仕事をするし、生徒だって出入りする。

「…はい」

返事をしたその熱っぽいカカシの声にも煽られてしまう。

腕に力を入れて上半身を起こした。

しかし、腰が抜けて、これ以上自力では立ち上がれなかった。

口付けだけで、もうこんなになるなんて。

「カ、カカシ先生っ」

ベットに移動してと言いながら自力では立ち上がれなくて、どうしようかと考える間もなくカカシに抱き上げられた。

もう一度名を呼ぼうと口を開く。

「カッ、んっ」

タイミングよく下りてきた濃厚なキスに体中が熱を持つ。

唇を重ねたまま寝室へ運ばれ、ベットに優しく乗せられた。

カカシが上着を脱ぎ、自分は全てを脱がされた。

カカシの手は下腹部を撫で、更に下へと迷いなく進んでいく。

唇と舌で胸の突起を刺激され、快感で漏れそうになる喘ぎを必死に耐える。

カカシがイルカ自身をゆっくり握り込んだ。

「くっ…ん」

「イルカ先生…」

名を呼ばれ、沈みかけた意識が少し浮上した。

下半身では温かい粘膜に包まれた感触が。

「…あ、あっ…」

カカシがイルカ自身を咥えたのだ。

体が跳ねる。

「…やっ、あっん…」

弱い裏側を舐められると射精感が一気に高まり、意識を遠くに逸らして噴出を耐えた。

カカシは舌を尖らせ、蜜の溢れる先端をくりくりと撫で回す。

「っ、っ、んんっ!」

一瞬、目の前が真っ白くなり、意識が戻って来た時にはカカシの口内へ放ってしまった後で。

「ごめっ、ん、なっ、さい…」

荒い息で何とかそれだけ伝えた。

「まだこれからですよ、イルカ先生」

ぐったり弛緩していると、カカシの指がイルカの秘所へと伸び、襞を確かめるように円をかいた。

「っん」

「狭いな…」

体内に異物が侵入した感触に体が固くなる。浅く短く呼吸して、苦しさを遣り過ごそうとする。

と、不意に異物感から解放された。

しかし、次は柔らかくて生温かい湿ったものの感触。

それがカカシの舌だと気付く。

「…やっ…」

舌の動きに合わせて体が跳ねる。

下に目を向けると、知らずに高く上がった自分の脚の間にカカシの頭が覗いていた。

居た堪れなくなって力の入らない腕で髪を掴み、必死に剥がそうとした。

だが、びくともしない。

「大分解けましたね…」

敏感な箇所に息が掛かかってビクビクしてしまう。

「っん、ん、ああっ…んんっ…!」

半勃ちになっていたそこを、カカシに強く握り込まれた。

「そろそろいいかな…」

「はっ…、あんっ」

指とは比べものにならない圧迫感が、下から突き上がる。

カカシの舌は胸の突起をいじりだし、片手で竿を握られた。

滑りのよくなったソコはカカシの手の動きを助けるばかりで、イルカをどんどん追い詰める。

カカシが腰を引き、ぎりぎりまで抜き出した。

「…ふぁっ…ん」

次は一気に押し入ってくる。

「ああっ!」

中のものが更に大きく、硬くなった。

角度を変え、何度も抜き挿しを繰り返す。

「いっ…!もうっ…!…あああっ!!」

二度目の絶頂に下腹が締まり、カカシ自身の大きさをリアルに感じた。

上から小さな呻きが聞こえ、内側に熱いほとばしりを受けた。

「イルカ先生…」

名を呼ばれたが、意識はそこで途切れた。





* * * * *





目が覚めるとカカシはいなくなっていた。

ベットからではなく、家の中からいなくなっていた。

あの寝汚いカカシが、朝一人で起きて出掛けて行ったという事だ。

こんな早くに出て行くなんて、何か用でもあったのだろうか。

どこに行ったのかわからないが、せめて、出る前に声を掛けてほしかった。

体を繋げた翌朝に一人で目覚めるというのは、とても…。

唇を噛んで誤魔化そうとたが、どうしても遣り切れない思いに苛まれる。

「…起きなきゃ」

発した声は擦れていて、余計に淋しくなった。











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2002.12.31